Case Study
工場と営業/管理部門の旅費交通費精算を統一。 間接工数の大幅削減で計5500時間の短縮効果!
世界の半導体ビジネスにおけるサプライヤーとして、ますます躍進を続けるフジキン様。工場を主軸に、国内外に多数の拠点を展開する同社では、近年、集中的にDXを推進しています。その取り組みの中で、MAJOR FLOWが旅費交通費精算を担うことになりました。導入効果は目覚ましく、年間1万5000件ほどの申請に対して、なんと全社で計5500時間※もの短縮に成功しています。 ※見込みを含む

株式会社フジキン様
導入前の課題
- 旅費交通費に関する規程が非常に複雑だった。社員もすべてを覚えきれず、各部署の入力担当者に頼っていた。
- 工場、営業/管理部門で異なる規程があり、統一が求められていた。
- 精算に時間や手間がかかり、社員の業務を圧迫していた。
- 申請が大変な上、精算までに時間がかかっていた。
導入後の効果
- 旅費交通費規程を新たに策定し、さらにシステム化することで精算業務をスリム化。
- 全社の旅費交通費精算を一本化し、効率化できた。
- ペーパーレス化、モバイル対応したことにより、申請や承認にかかる時間を大幅短縮できた。
導入の背景・経緯

旅費交通費精算における申請・承認プロセスの効率化は、以前から改善対象として挙げられていました。しかし、長年の運用で複雑化した業務でもあり、安易に着手できない規模になっていました。実際に取り組みが動き出したのは2022年、組織改編などを受け、DX推進の気運が いよいよ高まったことが背景にあります。
プロジェクトの開始にあたり、同社では社内規程の見直しに着手。 その上でMAJOR FLOWによるシステム化を成功させ、さらに2024年には、改正電子帳簿保存法の義務化に合わせて『MAJOR FLOW 証憑保管』の導入も行いました。
株式会社フジキン
経理部 次長(合理化特命担当)
安樂 治生 氏
本プロジェクトを率いたのは、管理本部・経理部次長、合理化特命担当の安樂治生氏です。
それまで抱えていた課題、MAJOR FLOWによる解決、効果、さらには今後のビジョンまで、詳しくお話を伺いました。
別々に運用してきた工場と営業/管理部門を統一
改善対象となった国内の旅費交通費精算には、非常に複雑な規程がありました。旅費等級、出発時間、帰着時間など、条件により細かに日当が変化し、申請する社員を悩ませていたのです。申請書に記載された内容に応じて、規程に精通した営業事務、工場経理などの担当者が日当の確定を行っていましたが、差戻しも度々発生していました。
「複雑な規定の根底には、頑張っている社員の働きにしっかり応えたいという思いがあります。
しかし、長年の運用で複雑化してしまい、かえって申請する人の負担が増えてしまいました。精算業務に多くの労力を費やすようでは本末転倒ですから、何としても合理化を成功させたかったのです」
さらに、工場と営業/管理部門がそれぞれ独自に規程を最適化していました。工場では手書きやExcelの申請書を駆使して現金による精算を行い、営業/管理部門は自社システムを活用し、振込で精算していました。2つの規程、2つの運用が1社の中に存在していたわけです。
「製造業はやはり製造部門が要ですから、工場の意向を汲んだ独自の仕組みを持つ企業は多いと思います。しかし、DXの観点からは、こうした運用は好ましくありません。
今回のプロジェクトでは、これまで分かれていた旅費交通費精算を全国レベルで統一し、間接工数を大幅に削減することを目指しました」
そこで同社は、大枠で以下の方針を立てました。
(1)日当規程の統一化と簡素化
(2)旅費精算システムの導入
「まずはルールをわかりやすいものに変えていこうと考えました。誰もが理解できることが重要です。組合、社内の担当部門と丁寧に協議を重ね、さらに各所から参考事例を収集して最適解を探りました」
要件を満たせたのは、MAJOR FLOWだけだった
新しい経費精算システム選びについても、慎重に行いました。スタンダードなパッケージに移行することが望ましいのはもちろんですが、大規模、多拠点かつ業務が多様なこともあり、簡単ではありませんでした。
「システム化を前提に新たな規程を策定しましたが、元が複雑かつ広範囲に及ぶ業務でしたから、画一的なパッケージではそうそう対応しきれません。MAJOR FLOWを選んだのは、クラウドサービスでありながら細かな設定が可能で、独自の様々な要望を反映することができたからです。
どんなシステムにも制約はありますが、選定候補に挙がったいくつかの製品の中で、最も柔軟で、不可能と思われたことも可能にできたのがMAJOR FLOWだったのです」
年間5500時間という、圧倒的な時短効果
運用を開始してから約7ヵ月が経過し、様々な効果を実感しています。
まずは出張や外出の多い約1000ユーザーからのスタートですが、その導入効果は目覚ましく、間接工数は大幅に削減されました。半導体業界の好調、またコロナ禍が収束に向かっていることを追い風に出張回数は増加傾向にあり、初年度の申請数は年間で約1万5000件※。 作業時間はトータルで約5500時間※の短縮を見込んでいます。
※いずれも見込みを含む
新システムへのこだわりとしては、ロケーションフリーであることも不可欠でした。紙の申請書やExcelの工程をなくし、PC、タブレット、スマホなどから申請・承認できるようにすることで、さらなる効率化を目指しました。
「規程をスリム化したことによる効果に加えて、システム化による効果にも目覚ましいものがあります。ペーパーレス化とモバイル端末対応により、申請・承認の顕著なスピードアップが実現しました。出張先や移動中でも操作でき、今までとは比較にならないほど効率がアップしました。たとえば近距離交通精算でしたら数ヵ所入力するだけで申請できます。私は承認することが多い立場ですが、移動中にスマホで確認してパパッとボタンを押していけば、どんどん承認が進むので助かっています。また、工場の現金取扱いも廃止し、キャッシュレスである口座振込に変更しました。以前は2週間に1回だった振込のタイミングは、1週間に1回と頻度を上げることができました。精算は早ければ早いほどよいですからね。社員からは非常に喜ばれています」
さらに同社では、2022年の改正電子帳簿保存法に対応するために、『MAJOR FLOW 証憑保管』を追加導入しています。
「こちらも重宝しています。以前は紙の証憑類をまとめて束ねて……、とにかく数が多いので、保管だけでもひと苦労でした。今ではアップロードするだけですから簡単です。また、OCRの機能アップにも期待しています。活用が進めばさらに便利になりそうですね」

今後の展望は「さらなる拡張」。相乗効果を目指していく
「MAJOR FLOWはいわゆる老舗という信頼感があり、大規模環境の実績も多く安心でした。テナント機能を使って1システムでグループ会社1社を含めた運用を行っています。導入支援では納得いくまでじっくりデモ環境を試させてもらいました。アフターフォローも大変充実していて満足です」
最後に今回のプロジェクトを俯瞰しての感想をいただきました。
「当社の歴史の中で、規程の変更も含めたここまで大掛かりなシステム導入は稀なことです。旅費交通費という限られた業務ではあるものの、経営層はもとより組合とも調整を重ねた全社最適事案です。今後もDXを推進するにあたり、1つの風穴を開けることになった、重要なプロジェクトだったと自負しています」
安樂氏は、「今後はさらに、海外出張精算に拡大。また、交際費など旅費交通費以外の経費精算でも活用していきたい」と語られました。「経費精算はすべてMAJOR FLOWで統一」を理想に、他システム連携も視野に入れ、さらなるシナジーを目指されます。
会社概要

1930年創業の、特殊バルブ機器・超精密流体制御システムのメーカーです。半導体、水素、医薬品、分析・計測など幅広い分野で製品が採用されています。2014年「グローバルニッチトップ企業」に、2020年には経済産業省「ゼロエミ・チャレンジ企業」に選出。また製品は、モノづくり日本会議/日刊工業新聞主催「“超”モノづくり部品大賞」で21年連続受賞するなど、数々の賞を受賞。フジキンカープグループとして、日本国内のみならず、アメリカ、アイルランド、ドイツ、韓国、ベトナム、中国、台湾、シンガポールとグローバルに展開しています。