Column
グループウェアのワークフローで本当に足りる?
専用システム vs グループウェア 徹底比較
2026.03.09
目次

そのシステムで理想のワークフローを実現できますか?システム選びの落とし穴
テレワークや社内統制の強化といったニーズ拡大に伴い、それまで紙とハンコで申請・承認を行っていた企業では申請・承認プロセスのデジタル化に対する要望が大きくなってきました。
そのような背景のもとで検討されるのがワークフローシステムですが、まずは大きく分けて下記の2種類の選択からはじまります。
ワークフローシステムの選択肢
①専用のワークフローシステムを導入する
②グループウェアを導入し、そのワークフロー機能を利用する
この時、充分に要件を確認した上でグループウェアを選択した場合は問題ないのですが、「価格が安かった」とか「他にもたくさん機能があるからお得に思った」という理由でグループウェアを選んでしまうと、
・承認階層が足りない
・複雑な条件分岐が表現できない
・通知機能がない
・検索機能が弱い
・他システムとデータ連携できない
といったような困ったが発生し、その問題を回避するために手作業を含めた運用を行うとこになり、システム化が無意味になってしまったということをよく聞きます。「申請・承認の電子化」というと、一見シンプルに見えますが、承認には社内規定が絡んできますので、システム化することは想像以上に複雑です。
本コラムでは、初めてのワークフローを電子化する場合でも失敗しないように、これらの違いとよくある失敗、そして選定の勘所を基礎から解説します。

ワークフローシステムとグループウェアの違いとは?
では、まずはじめに、ワークフローシステムとはどのようなシステムなのかご紹介します。
ワークフローシステムとは
ワークフローシステムとは、申請・承認・差戻し・決裁・履歴保管といった業務プロセスの実行に特化したソフトウェアで、「社内規程・内部統制・運用の現実」に合わせてフローを作り込む専用システムです。

ワークフローシステムの導入効果
なお、主な導入効果は下記のとおりです。
・申請から決裁の期間短縮、ペーパーレス化による意思決定の迅速化
・記入、計算、集計、コピー、回送等の作業時間の短縮による事務作業の効率化・正確化
・業務プロセスの標準化や決裁履歴の保存による内部統制の強化
続きまして、グループウェアとはどのようなシステムなのかご紹介します。
グループウェアとは
グループウェアとは、企業内の情報共有とコミュニケーションを促進するために多くの機能をワンパッケージで搭載した統合ツールの総称です。代表的な機能には、掲示板・カレンダー・アドレス帳・タスク管理・ファイル共有・チャットなどがあり、数ある機能の一つにワークフロー機能を含める製品があります。
代表的なグループウェア
Microsoft 365 (Microsoft)
⇒世界シェア1位の定番ツール。Word, Excel, Outlookに加え、Teams(チャット・会議)や
SharePoint(情報共有)が統合されており、大企業から中小企業まで幅広く導入されています。
Google Workspace (Google)
⇒Gmail, Google カレンダー, ドライブを中心に構成されるクラウド型ツール。
ブラウザ上でのリアルタイム共同編集に強く、IT系企業やスタートアップで特に高い支持を得ています。
サイボウズ Garoon / Office (サイボウズ)
⇒日本のビジネスシーンに特化した国内シェアの高い製品。大企業向けの「Garoon」と中小企業向けの「Office」があります。直感的な操作性と、日本の組織構造に合わせた権限設定などが特徴です。
desknet’s NEO (ネオジャパン)
⇒純国内産グループウェア。27以上の豊富な機能が標準搭載されており、公共機関や自治体での導入実績も豊富です。
J-MOTTOグループウェア(リスモン・ビジネス・ポータル)
⇒desknet’s NEOをベースとした、1人月額150円〜という圧倒的な低価格が魅力のクラウドサービス。コストを抑えたい中小企業に人気があります。
グループウェアの主な機能
豊富な機能がウリのグループウェアですが、主に下記のような機能で構成されています。
・スケジュール管理(カレンダー)
・メール・メッセージ
・文書管理
・ポータル(お知らせ、掲示板)
・タスク管理
・コミュニケーション(社内SNSなど)
・会議室予約
・ワークフロー

グループウェアのワークフロー機能は、数多くある機能の中の1つのため、当然ながら専用のワークフローシステムのように比べるとその機能はプアなものになります。詳細は次章でご説明しますが、設定できる承認者の数に上限が少ない、複雑な条件分岐を設定できない、全文検索機能がない、承認済みデータを他システムに出力する機能がない…等々といったものがあげられます。
従って、日報のような簡易的な報告書のみを電子化したいのであればグループウェアのワークフロー機能でも十分要件を満たすことができますが、決裁規定が複雑な稟議書や、金額や利益率などで承認フローが変わる見積許可申請書などの電子化も将来的に視野に入れているのであれば、専用のワークフローシステムを採用されることほうがオススメです。
グループウェアのワークフロー機能でのよくある失敗例
では、グループウェアのワークフロー機能の機能不足とはどのようなのものなのか、もう少し具体的にご紹介いたします。
承認階層が足りない
例えば社内規定では主任⇒係長⇒課長⇒部長⇒事業部長⇒社長といったようにレポートライン6人の承認が必要だが、最大5段階までしか承認者を設定することができないといったようなことがよくあります。
そのような場合、「主任の承認を不要にする」とか「主任の承認はメールで行う」といったような方法で
対応しているようなことがありますが、コンプライアンスやセキュリティの観点から芳しくありません。
複雑な条件分岐が組めない
所属部署によってフローを変えたり、一定以上の金額で承認者を追加する。といったような簡易的な条件分岐であれば、大抵のグループウェアのワークフロー機能でも実現可能です。
しかし、例えば見積申請のように取引先と金額、利益率など、複数の要素から承認者が細かく変わるような場合には対応することができないため、せっかくシステムを導入しても一部の申請書については依然として紙とハンコで運用を継続するはめになってしまいます。
入力補助機能不足
必須項目や入力可能な文字数や文字の種類を制限することは可能だが、入力自体は手入力のため、入力ミスや計算間違いが多発してしまい、差戻しによる決裁スピードの遅延はもちろん、上長が承認する、
内容を確認するための時間もかかり、システム化の恩恵が少ないことも。。。
ワークフロー専用システムであれば、四則演算機能を利用して合計値を自動計算したり、他システムで利用しているマスタを申請時の選択肢として参照することができるため、入力作業の効率化とケアレスミスの抑止を同時に実現できます。
また、システムによっては、入力内容によって必須項目を動的に変化させることができる製品などもありますので決裁規定が複雑であれば複雑であるほど、専用のワークフローシステムのリッチな機能が生きてきます。
参照権限の壁
人事関係の申請書は従業員の個人情報など、機微な情報を取り扱うことが多いため、参照権限について、どれだけ融通が利くかがポイントになります。
申請書の種類に応じて閲覧可能な部門や役職を設定できるのは当然として、人事考課の書類のように、同じ申請書でも部分に応じて閲覧できる権限を制限しようとすると、グループウェアのワークフロー機能ではなかなか難しいところになります。
データ連携の懸念
人事関係の申請内容は人事システム、発注関係の申請内容は購買システム、といったように、承認したデータを他システムと連携させて二重入力や入力ミスをなくしたいと考えた場合に、連携先のシステムが必須としている項目は全部網羅しているか?出力のフォーマットも連携先のシステムに合わせることができるか?を確認しておくことが大切です。
専用のワークフローシステムは他システムのフロントエンドとしてシステムを利用することを想定しているためこの点については得意としておりますが、グループウェアのワークフロー機能の場合、対応できないケースもあり、対応していない場合は、出力したデータを手作業やEXcelのマクロ機能を利用して
フォーマットを変換するような手間が発生してしまい、人の手が介入することでミスや改ざんの恐れが
生じるため、コンプライアンスの観点からも好ましくありません。


“安いから”“手元にあるから”で決めない
ここまでご覧いただいた方は、すでにお気づきになられているかもしれませんが、自社に最適なシステムを導入してペーパーレスや業務効率化を実現するためには「要件の整理」がとても重要になります。
簡易な承認で足りる申請書だけであればグループウェアで素早く整備し、程準拠と連携・監査がシビアな申請書も電子化が必要であれば専用ワークフローを採用することがベターです。
「安いから」とか「他にも機能があってお得だから」というような楽観的な視点で検討することは失敗の原因になりますので避けましょう。
ワークフローは会社全体の業務の幹であり、内部統制の要です。価格やアプリ数の多さだけで判断すると、承認階層の不足・分岐の限界・監査非対応といった“あとで効いてくる課題”に直面します。
導入前に要件を構造化して見える化し、適材適所で選ぶことが、失敗しない近道です。
ワークフローシステムご検討される際のポイントにつきましてはこちらをご覧ください。

