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失敗しないためにおさえるべきポイントとは?
はじめての経費精算システム導入ガイド
2026.02.24
目次

なぜ今、経費精算システムが必要なのか?
これまで多くの企業では紙の書類やExcelを用いて経費精算業務を行っていました。
しかし、近年はテレワークの普及や内部統制の強化、電子帳簿保存法やインボイス制度などの法改正などを背景に、多くの企業で経費精算プロセスのデジタル化が進んでいます。
それまで当たり前のこととして運用していた業務でも、例えばテレワークを導入しようとすると、承認を行う上席者は書類の申請や押印のためだけに出社しなければならない、書類のファイリングや会計処理を行う経理部門はその作業のために出社しなければならないなど、表面化していなかった改善点に気づかれるケースが多くなり、それらの課題を解決するために経費精算システム導入検討を始めるケースが増えてきました。
これらの課題は単に効率の問題にとどまらず、組織全体の生産性低下にもつながります。
だからこそ、経費精算システムの導入は「業務効率化」という観点を越え、働き方改革やDX推進、そして法対応の観点からも重要性が高まっています。
しかし、はじめての経費精算システムを導入する場合、「どのように検討を進めればいいのか?」「製品比較のポイントは何か?」など、どのように検討を進めればいいのかわからないというご相談をよくいただきます。
本コラムでは、これまでご相談いただいたお客様の声をもとに、導入前に押さえるべき要点から、検討・比較・展開の順番まで、実務視点で整理してご紹介します。

まずは課題を明確にすることからはじめよう
まずは現状の“困りごと”を可視化して整理しましょう。
紙とハンコの決裁業務にまつわる典型的な課題は次のとおりです。

出社しないと作業ができない
紙の書類がある事務所でしか作業ができないため、そのために出社が必要になる。経費精算の場合、月締めなどの関係で決裁に期日がある場合、期限日には外出していても、期限内に処理を完了させるために遅い時間でも帰社が必要で困っているとか、経理担当者は原本の保管や会計システムへの入力とった作業がネックになり、他の部門はテレワークを行っているが、経理部はテレワークを行えないという
必要な書類がすぐに閲覧できない
過去の精算内容を確認したい時、当然ながら紙運用ではその書類が手元にないと見れません。
特に経費精算関係の書類は証憑と合わせて一定期間保管することが法律で義務付けられているため貸倉庫などに保管される場合が多く、そのような場合には倉庫から手元にもってくるためにも時間が必要になります。また、書類の枚数が増えてくると、綺麗にファイリングされている場合でも、目的のものを探し出すのに、どうしても時間がかかってしまいます。
決裁に時間がかかる
付近地の旅費交通費の精算は直属の上長の承認でOKだが、交際費の精算は決裁規定が複雑というような場合、また、経理機能が本社に集中されており、拠点からの精算は紙の移動に伴って決裁までの時間がかかるだけでなく、急ごうとしても、今、どこまで承認が進んでいるのか分からないため、督促ができず、想定以上に決裁までに時間がかかったということもよくあることです。
内部統制に弱い
社内規定を確認せずに「とりあえず直属の上司に承認をもらう」といった運用をやりがちで、後から確認すると規定通りの決裁が得られていなかったということがよくあります。また、紙の場合、誰がいつ承認した?という記録もあいまいで、机の上に置いてある書類が決裁に関係ない方の目に入ってしまうということも問題になります。
会計処理が煩雑
稟議書などと異なり、経費精算の申請書は決裁が完了したら終わりではなく、その後、経理担当者が
書類の内容に基づいて仕訳を行い、その内容を会計システムに入力したり、銀行オンラインシステムに
振込データを入力するなど、煩雑な処理を行う必要があり、経理担当者の大幅な工数となっています。
なお、洗い出した課題は何に困っているかを並べるだけでなく、それら課題となっている業務の現状の作業時間がどのくらいかかっているのか?ざっくりとでも構いませんので記録を残しておくことが重要です。
システム導入の際、経営者はその効果を期待します。
導入前の課題や作業時間に関する記録を残しておくことで、導入後の効果を明確に試算することができるようになります。

経費精算システムによる課題解決効果
上記の課題に対する経費精算システムの課題解決効果は下記の通りです。ペーパーレスによるコスト削減だけでなく、様々な作業が省力化され、業務をスマートに改善できます。
場所や時間を問わずに申請や承認ができる
ネットワークがつながれば、いつ、どこからでも申請や承認ができるようになるので、移動中の空き時間など利用して申請・承認ができるようになります。
特に経費精算には締めの期日がつきまといますので、従来の紙による運用では、締日に未申請のものが合ったり、締日に発生した経費を処理する場合にはどんなに遅い時間でも事務所に移動し、手続きを行う必要があり、経理担当は全ての申請・承認が完了するまで待つ必要がありましたが、システム化することで、どこにいてもその場で処理してもらうことが可能になりますので、従来のように事務所に帰ってくるのを待つ必要なく、締め処理を進めることができるようになります。
見たい書類がすぐ見つかる
その場ですぐ過去の書類を確認できるようになります。電子化することで必要なキーワードで絞り込むことで任意の書類が素早く探せるようになるだけでなく、紙の場合に実施していたファイリングなどの作業がなくなるのも、経理担当者の省力化のポイントです。
決裁のスピードアップ
紙の郵送や承認者の移動にかかっていた時間がなくなるので決裁までにかかっていた時間を大幅に短縮。滞留時の督促も自動化できるので、承認漏れも激減します。締日に承認が完了していない申請書の承認状況を可視化し、滞留している承認者に督促することができるので、締めた後に承認漏れが見つかり、再度締め処理を行うような心配がなくなります。
内部統制を強化
定に則したフローで承認が行われるので、規定違反の心配が不要になります。
特に交際費などは規定が複雑で不正の温床になることがありますが、規定に則って誰が、いつ承認したという明確な記録を残すことができるので内部統制が大幅に強化され、監査対応もサポートします。
単純作業を自動化
仕訳データや振込データの生成、会計システムへのデータ入力や書類のファイリングなど、経理担当者の手間になっている煩雑な日常業務を自動化できるので、経理担当者の働き方改革を支援します。


まずは要件の整理から
経費精算システムの課題解決効果について、ご理解いただけたと思いますので、さっそく本題である経費精算システム導入で失敗しないポイントについてご紹介いたします。
経費精算システムに限らず、新しいシステムを導入する際の失敗は、導入前の検討時に運用を見据えた準備が不足していたことが原因であることが多くみられます。したがって、失敗しないためには事前準備の段階で下記の棚卸しをしっかりと行いましょう。

【事前準備のチェック項目】
□ 現状の課題の整理と解決の優先順位付け
□ 立替精算に関する規定の確認・整理
□ 利用する申請書の整理と電子化する優先順位付け
□ 利用部門、利用ユーザの整理
□ 必要な機能のピックアップ(会計システム連携やカード連携など)
□ 導入スケジュールの整理(テスト運用を含め、本来の業務に支障がでないように余裕を持たせる)
□ データの二次活用方法の整理(会計システムなど、連携システムがあれば連携要件の確認)
□ 電子帳簿保存法への対応
□ インボイス制度への対応
何のためにシステムを導入するのか?途中で方向性が変わって目的を見失わないために何を解決したいのか?明確に目標や目的、優先順位を定めてください。
また、多彩な機能があり、様々な課題を解決できそうだからといって、いきなり100%の運用を目標にしてしまうと、運用後に見つかった新しい問題に対応することが大変であったり、実際にシステムを利用するユーザも覚えることが多すぎて、システムに嫌な先入観を持たれてしまった結果、想定よりもシステム使われない…というようなことにならないように利用する部門や申請書の数を絞ったりするようなスモールスタートで徐々に試しながらを運用を拡張するようなスケジュールで検討をすすめることが過去の事例からもオススメです。
導入の進め方
要件の整理が出来たら、次は導入の順番です。
導入に成功されたお客様の例を見てみると、下記のようなステップで進めると、スムーズに導入まで進められます。
① 課題の洗い出し
↓
② 要件整理
↓
③ 選定・導入メンバーのアサイン
↓
④ 資料請求・デモ
↓
⑤ トライアルで操作確認
↓
製品選定
製品比較のポイント
カタログや製品サイトで確認できる「基本機能の豊富さや拡張性」はもちろん、「実運用のしやすさ」を意識して自社に合う製品を選ぶことが重要です。さきほど「要件整理」の重要性について、ご説明させていただきましたが、この要件については「今時点での要望」だけでなく「将来的に必要になりそうなこと」も意識しましょう。
経費精算システムでよくあるパターンとしては、当初、旅費交通費や交際費の立替精算だけという要望からスタートしたのですが、運用が安定してくると、事前許可の申請や請求書の支払処理も電子化したいというように、用途がどんどん拡張したいといった要望や、経費精算システムで蓄積したデータをBIシステムと連携してデータ活用したいというようなことがあげられます。
特に最近主流のクラウドサービスでは個別カスタマイズができないため製品が多くなっており、そのような場合には後から追加の要望が出てきた場合、そのシステムが対応していなければ、どうしようもありません。対応することができても、別費用のオプションだった場合には追加費用となってしまいますので、将来必要になるかも、、、というところまで対応しているか、考えておく必要があります。
また、実運用のしやすさにつきましては、実際に利用するユーザが使いやすくなければシステムが活用されないので、ユーザビリティが優れていることは当然ですが、経費精算システムは組織変更があった際、必ずメンテナンスが付きまとうシステムのため、組織変更やユーザの追加など、メンテナンスが大変でシステム管理者の負荷にならないか、確認しておくことも重要です。

【代表的なチェックポイント】
□ ユーザが直観的に操作しやすいか?
□ 定期メンテナンスがやりやすいか?
□ 自社の規定に則した承認フローを設定できるか?
□ 運用を止めずにメンテナンスができるか?
□ 利用する可能性がある機能を用意しているか?
□ 申請書の追加が容易にできるか?
□ 立替精算だけでなく請求書の支払いにも対応しているか?
□ 参照権限を細かく設定できるか?
□ 利用中の会計システムとの連携に対応しているか?
□ カード連携をする場合にはそのカードが対応しているか?
□ 電子帳簿保存法やインボイス制度などへの対応はされているか?
□ 利用人数が増減した時に素早く対応できるか?
□ セキュリティはしっかりと担保されているか?
□ 領収書のOCR読取に対応しているか?
□ サポートは充実しているか?

トライアル時に意識したいこと
上記のチェックポイントを参考に、情報収集を行った製品から候補を絞り込んだら次に行いたいのはトライアルを利用した製品評価です。最近は各メーカー、トライアルを用意していることが多いので、トライアルを利用して、より詳細な製品の評価や比較を行いましょう。
その時に意識したいポイントとしては下記の通りです。
● 実際の運用をそのまま試してみる
● 設定だけでなく、メンテナンスも行ってみる。
● 実ユーザにも参加してもらう
まず「実際の運用をそのまま試してみる」ということ、製品によっては事前にある程度の環境がプリセットされているので、それを利用して操作感を試されることがあると思いますが、それはメーカーが使いやすそうなものをピックアップしているだけで、実際にやりたいことを設定してみたら、、、ということがありますので、出来るだけ実運用と同じ形を試してみることを強くオススメします。
続きまして「設定だけでなく、メンテナンスも行ってみる」ということ。
設定するだけでも一苦労ですので、何でそこまで、、、と思われる方も多いと思いますが、設定したものを変更する時にはゼロからの設定と異なり、制約が発生することもありますので、メンテナンスも試してみるほうが導入後に思っていたことと違う、、、ということを回避できます。
最後に「実ユーザにも参加してもらう」ということ。
ここまで選定に参加されているメンバーはある程度、製品に対する先入観が出来ていると思いますので、先入観がない方に触ってもらい、現場の率直な意見を参考にすることも、現場に使ってもらえるシステムを目指す上ではとても重要です。特に経費精算システムの場合、経理担当者だけでなく、実際の申請を行うユーザの2つの立場からの評価を確認することがポイントです。
最後に「実ユーザにも参加してもらう」ということ。
ここまで選定に参加されているメンバーはある程度、製品に対する先入観が出来ていると思いますので、先入観がない方に触ってもらい、現場の率直な意見を参考にすることも、現場に使ってもらえるシステムを目指す上ではとても重要です。特に経費精算システムの場合、経理担当者だけでなく、実際の申請を行うユーザの2つの立場からの評価を確認することがポイントです。
その他、おさえておきたい導入時のコツ
最後に、製品選定を終えた後、実際の運用開始に向け、初期設定の準備を行う際に上手くいくためのテクニックをいくつかご紹介させていただきます。
まずはスモールスタートから
何事もいきなり完璧な形からはじまることは稀です。
しっかりと実運用に合わせてトライアルを試しても、実際に運用を開始してみると、ちょっとした見落としの修正や想定外のイレギュラーへの対応などが必要になることが普通です。
大規模で運用をはじめてしまうと、それらへの対応が遅れたり、場合によっては修正範囲が大きすぎて
対応自体が難しくなってしまう、、といったこともあります。ですので、まずは利用する部署や申請書の種類を限定したスモールスタートから徐々に範囲を広げていくことをおススメします。なお、過去のお客様の事例からは、入力が簡単な申請書より、利用頻度が高い申請書から始めるほうが社内に浸透しやすいようです。
できるだけ運用カバーをしない
準備万端のつもりでも、いざ運用を始めてみると、想定通りの運用とはいかず、何かしらちょっとしたレギュラーは付きまとうものです。その際、「もう運用を開始しているから…」「ごく稀なことのために設定を変更したり、対応方法を調べるのは手間…」と考え、手作業などでイレギュラーの対応をしてしまいがちですが、そうしてしまうとイレギュラーの対応方法が属人化して後任者が同じイレギュラーへの対応に困ったり、場合によっては手作業による対応が増え、システム導入の意味が半減してしまうということもありえますので、できるだけ手作業によるイレギュラー対応はせず、システムで対応するようにしましょう。
設定はシンプルにする
システムで対応する方法がいくつかある場合は、将来的にシステム管理者が変更する可能性も考慮して
出来るだけシンプルな方法を選択するようにしましょう。皆様も、担当者が退職してしまい、マクロを組んだExcelファイルを後任が修正できないといったような経験したことがあるのではないでしょうか?
そのようなことを予防するため、予めシステムは引き継ぐことを想定し、なるべくシンプルに設計・設定することがシステムを長期的に安定稼働させる秘訣です。
ユーザ教育には動画を活用する
新しいシステムを導入する時に行うユーザ教育には動画を活用することがオススメです。
従来は説明用のマニュアルを作成し、従業員を一カ所に集めて操作方法をレクチャーすることが一般的でしたが、動画であれば忙しい従業員のスケジュール調整をする必要がなく、都合がよい時にいつでも見てもらうことができ、操作方法を忘れてしまった場合にその動画を見てもらうことで説明対応の手間をなくすことができるだけでなく、新入社員が入社した際にもその動画を再利用することができます。今はWeb会議システムなどを利用して簡単に動画作成ができますので、おススメです。

成功の秘訣は「要件の見える化」と「現場に寄り添う選定」
経費精算システムの採用は、単純な脱ハンコやペーパーレスの推進だけではありません。
業務の標準化や可視化を通じて、経理部門だけでなく、組織全体の働き方に変える取り組みです。
まずは小さく始めて、より自社に則した運用法を測りながら改善を重ねることが、長期的な成功につながります。
経費精算は全社員が関わる業務です。
だからこそ、システム導入が持つインパクトは非常に大きい領域です。
ぜひ本記事を参考に、自社にとって最適な経費精算システムの導入を進めてみてください。

