パナソニック ネットソリューションズ株式会社 グループ企業情報

Column

失敗しないためにおさえるべきポイントとは?
はじめてのワークフロー導入ガイド

ワークフロー

時計マーク

2026.02.17

従来、多くの企業で運用されていた紙とハンコを利用した申請・承認業務、それまでは当たり前のこととして運用していたため、特に不自由などを感じることはなかった方も多いと思われますが、働き方改革などの一環としてテレワークが普及しだすと、書類の押印のために出社しなければならない、過去の書類を閲覧するために出社しなければならないなど、これまで気付いていなかった紙書類にまつわるムダや課題になる企業が増えてきました。

ワークフローシステムはこのムダをなくし、業務を標準化・可視化するための“土台”ですが、はじめてのシステムを導入する場合、「どのように検討を進めればいいのか?」「製品比較のポイントは何か?」
どのように検討を進めればいいのかわからないというご相談をよくいただきます。

本コラムでは、これまでご相談いただいたお客様の声をもとに、導入前に押さえるべき要点から、検討・比較・展開の順番まで、実務視点で整理してご紹介します。

まずは課題を明確にすることからはじめよう

まずは現状の“困りごと”を可視化して整理しましょう。
紙とハンコの決裁業務にまつわる典型的な課題は次のとおりです。

事務所でしか作業ができない

紙の書類がある事務所でしか作業ができないため、手続きのために出社が必要になる。締めなどの関係で期日がある書類の場合、外出後、遅い時間に押印のために帰社が必要になったり、押印の多い人事部や総務部、経理部などのバックオフィス部門の場合、これがネックになり、テレワークを行えないということもあります。

必要な書類がすぐに閲覧できない

過去の書類を参照したい時、当然ながら紙運用ではその書類が手元にないと見れません。
事務所内にある場合には、事務所に行けば確認できますが、長期保存のため、貸倉庫などに保管してしまっている場合、手元にもってくるためにも時間が必要になります。

また、書類の枚数が増えてくると、綺麗にファイリングされている場合でも、目的のものを探し出すのに、どうしても時間がかかってしまいます。

決裁に時間がかかる

承認者が多い書類や他拠点の方の承認が必要な場合、紙の移動に伴って決裁までの時間がかかるだけでなく、急ごうとしても、今、どこまで承認が進んでいるのか分からないため、督促ができず、想定以上に決裁までに時間がかかったということもよくあることです。

内部統制に弱い

社内規定を確認せずに「とりあえず直属の上司に承認をもらう」といった運用をやりがちで、後から確認すると規定通りの決裁が得られていなかったということがよくあります。また、紙の場合、誰がいつ承認した?という記録もあいまいで、机の上に置いてある書類が決裁に関係ない方の目に入ってしまうということも問題になります。

お、洗い出した課題は曖昧に困っているというのではなく、現状の作業時間がどのくらいかかっているのか?ざっくりとでも構いませんので記録を残しておくことが重要です。

システム導入の際、当然ながら経営者はその効果を気にされます。
しっかりと記録を残しておくことで、導入後の効果を明確に試算することができるようになります。

ワークフローシステムによる課題解決効果

上記の課題に対するワークフローシステムの代表的な課題解決の効果は下記の通りです。
脱ハンコと脱ペーパーレスを推進することで、これだけ多くの課題が解決され、業務がスマートになります。

場所や時間を問わずに申請や承認ができる

ネットワークがつながれば、いつ、どこからでも申請や承認ができるようになるので、事務所までの移動時間が不要になるだけでなく、移動中の空き時間など利用して申請・承認ができるようになります。

見たい書類がすぐ見つかる

その場ですぐ過去の書類を確認できるようになります。必要なキーワードで絞り込むことで任意の書類が素早く探せるようになるだけでなく、紙の場合に実施していたファイリングなどの作業がなくなるのも業務効率化の観点からは見逃せないポイントです。

決裁のスピードアップ

紙の郵送や承認者の移動にかかっていた時間がなくなるので決裁までにかかっていた時間を大幅に短縮。滞留時の督促も自動化できるので、承認漏れも激減します。

内部統制を強化

規定に則したフローで承認が行われるので、規定違反の恐れがなく、誰が、いつ承認した、閲覧したなどの記録を残すことができるので内部統制が大幅に強化され、監査対応もサポートします。

導入前にやるべき事前準備(要件の整理)

ークフローシステムの課題解決効果について、ご理解いただけたと思いますので、そろそろ、本題であるシステム導入で失敗しないポイントについてご紹介いたします。

ワークフローシステムに限らず、システム導入失敗の原因は導入前の検討時に運用を見据えたルールが未整理であることが多くあります。失敗しないためには事前準備の段階で下記の棚卸しをしっかりと行いましょう。

【事前準備のチェック項目】

□ 現状の課題の整理と解決の優先順位付け
□ 決裁規定の洗い出し
□ 利用する申請書の整理と電子化する優先順位付け
□ 利用部門、利用ユーザの整理
□ 必要な機能のピックアップ(例えば代理申請や根回しなど)
□ 導入スケジュールの整理(テスト運用を含め、本来の業務に支障がでないように余裕を持たせる)
□ データの二次活用方法の整理(決裁後、どのようなデータの出力が必要か?)

何のためにシステムを導入するのか?途中で方向性が変わって目的を見失わないために何を解決したいのか?明確に目標や目的を定めてください。

また、数多くやりたいことがあるからといって、はじめから100%の運用を目標にしてしまうと、実際に利用してから新たに発見する課題などに対応することが難しかったり、実際に運用する従業員も全部を覚えるのが大変で嫌気を出して使われない…というようなことにならないように利用する部門や申請書の数を絞ったりするようなスモールスタートで徐々に試しながらを運用を拡張するようなスケジュールをたてられることがオススメです。

導入の進め方

要件の整理が出来たら、次は導入の順番です。
導入に成功されたお客様の例を見てみると、下記のようなステップで進めると、スムーズに導入まで進められます。

①課題の洗い出し

②要件整理

③選定・導入メンバーのアサイン

④資料請求・デモ

⑤トライアルで操作確認

製品選定

製品比較のポイント

カタログスペックでみえる「基本機能の豊富さや拡張性」はもちろん、「実運用のしやすさ」も意識して自社に合う製品を選ぶことが重要!

前項で「要件整理」についてごご説明させていただきましたが、この要件は「今時点での要望」だけでなく「将来的に必要になりそうなこと」も意識しましょう。

ワークフローシステムでよくあるパターンとしては、当初、稟議書を電子化したいという要望からスタートし、運用が安定してくると、他の申請書も電子化したいというように用途がどんどん拡張する場合とか、ワークフローシステムで蓄積したデータを他のシステムと連携してデータ活用したいというようなことがあげられます。

特に最近主流のクラウドサービスでは個別カスタマイズができないため、後から追加の要望が出てきた場合、そのシステムが対応していなければ、どうしようもありません。対応することができても、別費用のオプションだった場合には追加費用となってしまいますので、将来必要になるかも、、、というところまで対応しているか、考えておく必要があります。

また、実運用のしやすさにつきましては、実際に利用するユーザが使いやすくなければシステムが活用されないので、ユーザビリティが優れていることは当然ですが、ワークフローシステムは組織変更があった際、必ずメンテナンスが付きまとうシステムのため、組織変更やユーザの追加など、メンテナンスが大変でシステム管理者の負荷にならないか、確認しておくことも重要です。

【代表的なチェックポイント】

□ ユーザが直観的に操作しやすいか?
□ 定期メンテナンスがやりやすいか?
□ 運用を止めずにメンテナンスができるか?
□ 利用する可能性がある機能を用意しているか?
□ 申請書の追加が容易にできるか?
□ 参照権限を細かく設定できるか?
□ 他システム連携の仕組みが充実しているか?
□ サポートは充実しているか?
□ 外国人労働者でも利用できるか?(多言語対応しているか?)
□ 利用人数が増減した時に素早く対応できるか?
□ セキュリティはしっかりと担保されているか?

トライアル時に意識したいこと

チェックポイントを意識し、情報収集を行った製品からある程度候補を絞り込んだら次に行いたいのはトライアルを利用した製品評価です。最近は各メーカー、トライアルを用意していることが多いので、トライアルを利用して、より詳細な製品の評価や比較を行いましょう。

その時に意識したいポイントとしては下記の通りです。

● 実際の運用をそのまま試してみる
● 設定だけでなく、メンテナンスも行ってみる。
● 実ユーザにも参加してもらう

まず「実際の運用をそのまま試してみる」ということ、製品によっては事前にある程度の環境がプリセットされているので、それを利用して操作感を試されることがあると思いますが、それはメーカーが使いやすそうなものをピックアップしているだけで、実際にやりたいことを設定してみたら、、、ということがありますので、出来るだけ実運用と同じ形を試してみることを強くオススメします。

続きまして「設定だけでなく、メンテナンスも行ってみる」ということ。
設定するだけでも一苦労ですので、何でそこまで、、、と思われる方も多いと思いますが、設定したものを変更する時にはゼロからの設定と異なり、制約が発生することもありますので、メンテナンスも試してみるほうが導入後に思っていたことと違う、、、ということを回避できます。

最後に「実ユーザにも参加してもらう」ということ。
ここまで選定に参加されているメンバーはある程度、製品に対する先入観が出来ていると思いますので、先入観がない方に触ってもらい、現場の率直な意見を参考にすることも、現場に使ってもらえるシステムを目指す上ではとても重要です。

その他、おさえておきたい導入時のコツ

最後に、製品選定を終えた後、実際の運用開始に向け、初期設定の準備を行う際に上手くいくためのテクニックをいくつかご紹介させていただきます。

まずはスモールスタートから

何事もいきなり完璧な形からはじまることは稀です。しっかりと実運用に合わせてトライアルを試しても、実際に運用を開始してみると、ちょっとした見落としの修正や想定外のイレギュラーへの対応などが必要になることが普通です。

大規模で運用をはじめてしまうと、それらへの対応が遅れたり、場合によっては修正範囲が大きすぎて対応自体が難しくなってしまう、、といったこともあります。ですので、まずは利用する部署や申請書の種類を限定したスモールスタートから徐々に範囲を広げていくことをおススメします。なお、過去のお客様の事例からは、入力が簡単な申請書より、利用頻度が高い申請書から始めるほうが社内に浸透しやすいようです。

できるだけ運用カバーをしない

いざ運用を始めると上記の通りちょっとしたイレギュラーなどが発生するのは普通のことです。
その際、「もう運用を開始しているから…」「ごく稀なことのために設定を変更したり、対応方法を調べるのは手間…」と考え、手作業などでイレギュラーの対応をしてしまいがちですが、そうしてしまうとイレギュラーの対応方法が属人化して後任者が同じイレギュラーへの対応に困ったり、場合によっては手作業による対応が増え、システム導入の意味が半減してしまうということもありえますので、できるだけ手作業によるイレギュラー対応はせず、システムで対応するようにしましょう。

設定はシンプルにする

システムで対応する方法がいくつかある場合は、将来的にシステム管理者が変更する可能性も考慮して
出来るだけシンプルな方法を選択するようにしましょう。

マクロを組んだExcelファイルを利用しているが、担当者が退職してしまい、後任が修正できず、新しい仕組みを用意して切り替えることが大変だったようなケースはみなさんも経験したことがあるのではないでしょうか?そのようなことを予防するため、予めシステムは引き継ぐことを想定し、なるべくシンプルに設計・設定することがシステムを長期的に安定稼働させる秘訣です。

ユーザ教育には動画を活用する

新しいシステムを導入する時に行うユーザ教育には動画を活用することがオススメです。
従来は説明用のマニュアルを作成し、従業員を一カ所に集めて操作方法をレクチャーすることが一般的でしたが、動画であれば忙しい従業員のスケジュール調整をする必要がなく、都合がよい時にいつでも見てもらうことができ、操作方法を忘れてしまった場合にその動画を見てもらうことで説明対応の手間をなくすことができるだけでなく、新入社員が入社した際にもその動画を再利用することができます。
今はWeb会議システムなどを利用して簡単に動画作成ができますので、おススメです。

成功の秘訣は「要件の見える化」と「現場への寄り添い」

ワークフローシステムの採用は、単純な脱ハンコやペーパーレスの推進だけではありません。
業務の標準化や可視化を通じて、組織の働き方そのものをしなやかに変える取り組みです。

まずは小さく始めて、より自社に則した運用法を測りながら改善を重ねることが、長期的な成功につながります。

ワークフローシステムは全従業員が利用するシステムです。
導入を検討する自部門だけでなく、企業全体の課題を洗い出し、それらの課題を解決して全従業員の業務を効率化し、働きやすい会社に変えていくための基盤となることを意識していただくことが成功のために最も必要なポイントです。