Case Study
申請経路は1,000以上。農協ならではの複雑な
事業形態にマッチした唯一のワークフロー
令和4年の大合併により、JAとして全国有数の事業規模となったJAふじ伊豆。大規模環境な上に、事業形態も農協ならではの複雑さを有します。稟議についても、申請経路は1,000を軽く超え、ほとんどのワークフロー製品では対応しきれませんでした。なぜMAJOR FLOW Zで解決できたのか、ぜひご一読を─
富士伊豆農業協同組合さま
導入前の課題
- 合併後のエリアは広範囲に及び、紙の申請書では稟議を回しきれない。
- 決裁ルートが膨大かつ複雑で、申請者にとってわかりにくいものになっていた。
- 組織が複雑で規模が大きいため、年度末のマスタ更新作業に不安があった。
導入後の効果
- MAJOR FLOW Zによる電子化で、紙の申請書による稟議をほぼ廃止。決裁までの時間短縮や輸送コスト削減に成功した。
- MAJOR FLOW Zで必要な書式を選べば、規定に則した承認ルートを自動でセット。誰でも使いやすいシステムが実現した。
- マスタの世代管理機能により、前年度の稟議を終了させなくても適切な年度切替が可能。システムをほぼ止めずに新年度へ更新できた。
8つの農協の合併という令和4年の大プロジェクトに臨んだ富士伊豆農業協同組合様。新体制では、それまで紙の申請書で行ってきた稟議を、オンプレミスのMAJOR FLOW Zによりシステム化することになりました。導入を担当したのは、管財部の八木美沙氏と足立佳也乃氏、総合企画部の鈴木孝弘氏から成るチームです。
合併で全国有数の大規模JAへ
紙での運用はこれ以上不可能に
合併以前、基本的に8農協はそれぞれ独自のルールで稟議を行ってきました。これを統合するには困難をともなったといいます。鈴木氏は当時を次のように振り返ります。
「合併により従業員数が跳ね上がるだけでなく、カバーするエリアも、静岡東部・伊豆全域と非常に広いものになります。従来のような紙の稟議書を回していたら時間がかかりすぎて、意思決定のスピードに問題がでることは容易に想像できました。紛失リスクや輸送コストも見過ごせません」。
信用事業をはじめ、農業にまつわる様々なニーズに応える農協は事業の幅が広く、組織も複雑です。鈴木氏は、ワークフローの導入には、経路設定の自由度や柔軟性が重要だったと説明しています。
「合併後、本店が200以上の事業所を束ねることになりました。単純に数が多いことに加え、各事業所ごとに信用事業、共済事業などと複数の部門があり、さらに地区ごとに発展させてきた独自のビジネスも存在します。対応する決裁のルートを全部合わせたら、1,000を超えるものになりました。これらを定めた規程集『決裁基準表』は、何十ページにも渡ります。これだけのルートに対応できるワークフローは、選定時にほとんど見つからないという状況でした」。
組織の複雑さ、業務の幅広さは農協ならではの特徴です。もちろん、システムに合わせて業務をシンプル化できるほど単純なものではありません。このような複雑かつ大量の決裁ルートへの対応という要件に応えられる製品は、実際に非常に少なく、ワークフローエンジンに強みを持つMAJOR FLOW Zが必然的に選ばれることになりました。
進捗は画面上で一目瞭然
管理部門の業務負担も削減へ
富士伊豆農業協同組合
総合企画部 経営企画課
課長補佐 鈴木 孝弘 氏
富士伊豆農業協同組合
管財部 情報システム課
主任 八木 美沙 氏
現在、MAJOR FLOW Zの運用を開始して2年目に入りました。稟議については月間で700 ~800件が常に動いています。もちろん決裁スピードは大幅にアップ、また、業務の効率化も実現しています。
「書式ごとに基本的なルートは設定済みですので、経路設定については申請者もだいぶ手間が減ったと思います。管理部門の総務部では、受け付けた稟議書のナンバリング、役員への配布・回収、申請者への結果通知といった業務はほとんどなくなっています」(鈴木氏)。
「進捗が画面上で一目でわかるようになったことは大きいですね。稟議の優先度が可視化されたことは申請側・承認側の双方から好評です。紙の申請書の場合は、どうしても机の上や決裁箱の中に積みあがっていってしまいますから。たまった書類をひっくり返して、すべて確認するようなことにもなりかねません。また、『サイボウズ Garoon』との連携で、承認待ちの稟議数がグループウェア上で確認できる点も決裁を行う役員に好評です」(八木氏)。
農協の現場にマッチする
着地点を見出すことに
富士伊豆農業協同組合
管財部 管財課
足立 佳也乃 氏
「紙の申請書からの移行なので、最初は戸惑ったという人も少なくなかったです。書式については、ある程度自由がないと多様な業務に対応しきれませんので、定型文でがっちりと固めたりはしませんでした。そのせいか、当初は『何を書いたらいいのかわからない』という声も。しかし、慣れてきたら皆さんしっかり使いこなしています。逆に自由度を活かしたアレンジなど、高度なユーザーも見られるようになり、定着したことを実感しています」(足立氏)。
「使う人と管理する人の両面からの視点で、“将来に渡って運用し続けられるシステム”を考え、着地点を見出しました。結果、農協の業態にしっかりとマッチする、よい形に収まったと思います」(鈴木氏)。
稟議には、単なる決裁だけでなく、情報共有の役割も担わせているとのことです。
「例えば特定の人に申請内容を確認してもらいたい、などの要望には、参照機能を使って内容を共有してもらっています」(鈴木氏)。
「参照に関しては『既読をつける』感覚で、決裁については電子押印(標準機能)で、と使い分けています。電子押印は内容をしっかり確認して認めたことを示す上で、大切だと思っています。承認操作に責任感を持ってもらうためにも必要な機能です」(足立氏)。
マスタの世代管理が可能にした
運用をほぼ止めない年度移行
八木氏によると、年度末の移行作業も導入ハードルの1つでしたが、MAJOR FLOW Zの世代 管理機能が解決しました。
「信用業務に携わっているので、人事異動が多い組織です。そのため、年度末には部署マスタの修正など様々な業務が発生します。候補に挙がっていたほかのワークフローは、どれも移行の際に稟議中の申請をすべて終了させなければならず、システムを利用できない期間ができてしまいました。中には、新機構で申請が行えるようになるまでに1ヵ月程度を要する製品も。一方、MAJOR FLOW Zはマスタの世代管理ができるため、移行期間は必要ありません。新年度初日から新しい機構体制で申請することができました」。
オンプレミスのMAJOR FLOW Zは複数のテナントを併用できるので、本番環境のほか、検証環境や開発環境を用意し、年度の更新にあたりました。現場で昨年の移行作業を担当したのは足立氏です。
「年度末に人事異動が発表されたら、まずは開発環境で新しいマスタを作り、決裁基準の変更があれば、書式も一緒に変更します。あとは年度が切り替わるタイミングで本番環境に移行するだけとなります。下準備は必要ですが、年度の最終日にメンテナンスに要した時間はわずか8時間ほど。大きなトラブルなどもなく、スムーズでした」。
最後に今後の展望について伺いました。八木氏は「現在は稟議での利用が主ですが、人事部門の申請や全部門の報告書などの大半を電子化すべくMAJOR FLOW Zを活用することを目指しています」と、意欲的に語られました。
会社概要
- 設 立 / 令和4年4月1日
- 従業員数 / 2,454名 ※令和5年3月末時点、正・臨時含む
- 代表理事組合長 / 梶 毅
- 出資金 / 109億円
- 本 店 / 静岡県沼津市下香貫字上障子415-1
令和4年、静岡県の東部・伊豆全域において、8地域のJAが合併したことにより誕生しました。事業規模は全国有数。信用事業、共済事業をはじめ、営農指導、販売、購買、さらには生活文化事業まで、地域農業を発展させ、農業者の暮らしを支える事業活動を行っています。現在は「富士伊豆からつなぐ~大地と地域と農業のみらい~」を経営理念に、スケールメリットを活かした戦略的事業運営を進めています。